日本雷保護システム工業会

雷電流(雷サージ)の侵入・流出経路

雷サージの侵入・流出経路

避雷設備が設置されていない建築物への落雷(直撃雷)並びに落雷時に屋外の配電線などに誘起する誘導雷サージは、どのような経路で建物内に侵入して電気、電子機器などに被害をあたえるのか、
雷サージの侵入・流出経路を図2-1に示します。

注)雷サージ:雷による異常電圧及び異常電流を総称します。

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雷サージの経路と想定雷被害

建築物や電気、電子機器類に被害を及ぼす雷は、“直撃雷”と“誘導雷”に大別されます。落雷の放電を建物等に直接受けるのを直撃雷と言い、落雷時に雷雲から大地まで雷電流が流れる際に、周囲に発生する強い電磁界の影響を受けて近くの電力線や通信線などに発生する危険な電圧、電流(雷サージ)を誘導雷といいます。
下記に、それぞれの場合の雷サージ侵入・流出経路(図示記号①②③④)と、それに伴い発生する被害について説明をします。

直撃雷(落雷)

直撃雷とは一般的に言われる“落雷”です。これは雷雲から大地面に向かって出発した先行放電(ステップトリーダ)が大地面近くに達すると大地面や建物の突角部から複数の上向きリーダが誘起します。雷雲から大地面に向かったステップトリーダと上向きのリーダとの間の空気の絶縁が破壊される状態になったときステップトリーダ中のマイナス(-)電荷が大電流となって建物等の突起部を介して地表面に流出します。これが代表的な落雷現象です。

図示記号雷撃点
直接、落雷を受ける大地側の箇所を雷撃点と言います。
一般的には、雷雲から大地に接近するステップトリーダに対し、大地面から上向きのリーダを誘起する場所即ち、建物では屋根及び屋上の突角部(パラペットのコーナー部分等)が落雷の雷撃点となる恐れがあります。
被害1:雷撃点が金属の場合、雷電流の大きさと雷撃点の金属部材の材質、厚さ、太さなどの条件によっては、その金属部材が溶融欠損する危険があります。
被害2:雷撃点が非金属の場合は、アーク放電による発熱で雷撃点周辺の空気や水分が爆発的に膨張するので部材がコンクリートや石材の場合は破損し、飛散して地上に落下する危険があります。
被害3:雷撃点の周辺に可燃性の部材があると発火燃焼する場合があります。

図示記号雷電流の経路と外部への流出
建物に落雷した雷電流は、流れやすい経路を通って大地に流出します。その経路は金属製の建物構造駆体や屋内配線の電力線・通信線を介して大地に流れます。雷電流が大きいと雷電流の流出経路の電圧も高くなり、屋内配線に接続されている機器の絶縁が破壊されます。
被害1:絶縁破壊が発生した場合、雷電流の一部は機器に接続されている電力線や通信線を通じて屋外に流出します。
被害2:絶縁破壊時に発生するアーク放電による発熱や電気電子回路に流れる過大な電流が原因となって、屋内の電気通信機器並びに配線類が破損焼損する危険があります。

図示記号近傍への落雷電流の侵入
建物の近傍の樹木などに落雷があって、その雷電流が大地に放流されると周囲の大地電位が上昇します。その近辺の地中に埋設され建物に引込まれている接地線、電力線、金属製給水管などがあれば雷電流は、これらを通じて建物内部の設備機器に侵入します。
被 害:建物内に侵入した雷サージは屋内の電気、通信設備機器に被害を発生させる原因となります。

誘導雷

図示記号誘導雷サージの侵入
建物に引き込まれている屋外の配電線や電話線に発生した誘導雷サージは、配線を通じて建物の屋内に侵入します。
被 害:屋外から侵入した雷サージは屋内配線に接続されている電気通信設備機器に過電圧電流による破損焼損の被害を与える危険があります。